ありがとうございました
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“ふじさんの日”だった2月23日に、たくさんの方にご協力頂いた「みんなの富士山」展が終了しました。モーネに届けてくださった富士山の切り紙は1,500枚を越えるほどに。最終日にも「今日の青空のように」と届けてくださった方も。最終日にずっと会場に来られた方とお話をさせていただいたら「こんなにあたたかな展は初めてです」とか「美術館だとすっと歩くのに、立ち止まって一枚ずつ見てしまいますね」、「やさしい気持ちの繋がり、誰かを想うことで湧き出る不思議な力のエピソード」と沢山のお言葉をいただいた。
昨年の元旦から始まった“切り紙の巡業”も、私の中で一区切りになりそうです。
切り紙を送ってくださったみなさん、会場にお越しくださったみなさん、ほんとうにありがとうございました。

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1年前の“ふじさんの日”、父と母と妹と一緒に河口湖に旅をした時に、家族4人で富士山を眺めていました。1年後のこの日に、父をおくる展をするとは思いもよらず…。
切り紙は、最初は母のために父にしっかりしてほしいと思い、出した宿題でした。父と過ごせた4年間の切り紙時間は、こどもの頃は知らなかった1人の人間としての父を、父は父なりの悩みがあったことを、ほんの少しだけ知ることができました。大学を出た娘に対し、小学校しかでていない自分に負い目を感じていたこと。そんなこと一度も言わなかったけれど。また、片方の耳が小学校から聞こえなくなっていたことで会話が苦手だと思い込んでいたこと。でも、それは決して他の人とのつながりを拒絶したかったことではなかったこと。実の親子は、意外とほんとうに素直には自分の心の中は口にしずらいもの。でも、だからこそ「ごめんね」も「ありがとう」も、切り紙という言葉があったから、父娘がお互いに素直な気持ちを伝えることができました。
亡くなる2日前、両耳が聞こえなくなっていた父に、病室で紙に書いて私が伝えた言葉は「心から尊敬しています。」でした。うっすら目を開けて、紙に書かれたその言葉を読んでうなずいてくれた父。ありがとうは、父の命が終わってしまうことを認めるようで最後まで伝えることはできませんでした。
人はそれぞれでいい、それぞれがいい。
父に最後まで言えなかった「お父さん、ありがとう」をみなさんのお力を借りて、父に届けることができました。みなさんには、ほんとうに心より感謝しています。
いつか空の上でみなさんの富士山を父に見せながら、たのしい切り紙の会話をたのしみに…。
井上由季子
by maane-news | 2013-02-25 12:30
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