切り紙の本が出来ました
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ずっと進めて来た「切り紙」の本が、『老いのくらしを変えるたのしい切り紙』というタイトルになって出来ました。発売は今月10日だが、「たのしい切り紙」展に合わせて一足早く本を届けて頂いた。この本は、筑摩書房の編集の大山さんとライターの赤澤さんが、何か世の中の役に立つ本をと考えられていた時に、父たちの「切り紙」を本にしてはと声をかけてくださった。最初「本にするなら井上さんは文章を書かないと」と言われ、苦手な文章を一冊も書く事ができるかどうか不安だったが、赤澤さんは「私に手紙を書くように書いてくれたらいいから」と、背中を押してくれた。最後まで私のちょっとおかしな言い回しを、でも私の個性を消さずに整えてくださった。
80代のアマチュアの切り紙が、ほんとうに世の中に役立つのか私には近すぎてわからなかったが、作家やプロではなくても一生懸命、真面目に、ひたすら手を動かして生み出したものは、もしかしたら共感してもらえるかもしれないと考えながら文章に向き合った。直接声に出して話すことができないことがあるけど、そういう時に紙に想いを託して相手に届けることで、照れたり、恥ずかしくて声に出して言えない想いも届けられるように思う。父と義母の切り紙は“作品”ではない。手と心で通い合う言語なんだと思う。
実家の母は大好きだったけど、父とは口論ばかりで好きではない人格だった。でも、2年余りの「切り紙」の時間が、お互い何度も素直に「ありがとう」と言えたように感じている。今は、実家に行くと必ず父と母をハグすることにしていて、そんな時の父のはにかんだ顔を見るとすごく温かになれる。あの頑固なあまのじゃくな父とこんな風に想いを共有できることが人生であるなんて‥。誰かに何か想いを届けたい時、「切り紙」という言語と心を込めた紙の言葉にして届けて欲しいと思う。いろんなことが起る日々に、ちょっと微笑むひと時をくれると思う。本を手にしていただいた時、この想いを一人でも多くの方に共有してもらえたら、そして素直に誰かにその想いを届けてほしいと願っている。
by maane-news | 2012-01-04 12:31
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